2002.04 Paseo-Flamenco
3月15日(金)東京・溜池山王 サントリーホール大ホール

 音楽の殿堂サントリーホールに、華麗なフラメンコ絵巻が出現した。「スペインの夜」と銘打たれた華やかなコンサートの後半の目玉として、アントニオ・アロンソ振付・演出による「カルメン」が演じられたのだ。
 この夜用いられた音楽はビゼーラのオペラの原曲と、現代ロシアの作曲家シチェドリンによる編曲を混ぜたもの。アロンソ夫人で気悦のソプラノとして活躍する塩田美奈子が、カルメンを演じた。印象的なイントロダクションとともに、舞踊団の面々が登場。響きのよいサントリーホールいっぱいに、よく音楽と溶け合ったサパティアードがこだまする。ドン・ホセとエスカミーリョの2役を演じるアロンソは、その後悠々とステージに現れた。かつてスペイン国立バレエ団のトップとして鳴らしただけあって、こうしてオペラティックな舞台に立つと、その容姿と舞踊はひときわ見映えがする。対する塩田も、軽くブラセオを入れたり、巧みにカスタネットを操ってみせたりと、随所にフラメンコ的な所作を織り込んでムードを高めていた。「ジプシーの歌」と続く「トレロ」は、群舞の見せ場。アロンソ以下3人の男性が闘牛士に扮して、みごとなカポーテさばきを見せると、会場から大きな拍手が湧いた。
 全体的にアロンソ流の美学に貫かれたドラマは、最後のドン・ホセによるカルメン殺しの場でクライマックスを迎えた。ホセの独唱部分はおもにチェロが代わってメロディーを奏で、それがアロンソの動きとうまく符合して、カルメンへの報われぬ愛が殺意に変わるさまをよく表していた。
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